ゆきのPainter講座*デジタル水彩とスポンジで描く光と影

まつもと ゆき

デジタル水彩の「水はね」ブラシを使用した彩色と、スポンジを使って影を削るちょっと変わったテクニックをご紹介します。

ゆきのPainter講座*デジタル水彩とスポンジで描く光と影



制作環境

  • Painterのバージョン:Painter 12(12.0.0.609)
  • コンピュータ:iMac(2006モデル/Core2Duo2.16GHz/2GBメモリ)
  • ペンタブレット:Wacom Intuos4

INDEX

作者情報

まつもと ゆき

絵本系イラストレーターです。
Mac用の画像ビューアを作ったり、Painterの研究やったりしています。
ご質問等はメールかTwitterでお気軽にどうぞ!

HP * http://nekobooks.com/
Twitter * http://twitter.com/yuneco


STEP1:線画の取り込み~下塗り

Abstract :
スキャナで取り込んだ線画を修正し、単色でべた塗りします。
全体の配色を決め、後の作業で使用する選択領域やガイド用の線画レイヤーも作成します。

[1]線画の取り込みと修正

線画の取り込み

今回の下絵はコピー用紙にペンで描いたものをスキャナで取り込みました。A4で400dpi、4000px * 2700px程度のイメージです。
線画はモノクロでスキャンするか、スキャン後にモノクロ二階調化しておきます。

■今回の下絵


グレースケール400dpiでスキャンしたものを「色補正」の「フリーハンド」を使ってモノクロ二階調に変換しました。

線画の修正

ペン画とスキャンが完璧ならこれで問題ないのですが、実際には所々線が切れたりはみ出したりしてしまっている箇所があるので修正しておきます。

特に、線が切れている所は要注意です。
線が1ドットでも切れていると下塗りする際に塗りがはみ出してしまいます。
切れている所を探して穴を塞いでいきます。

線の切れている所を目だけで探すのは大変なので、塗潰しツールで塗りながら探していきます。
塗りつぶしツール[K]を選択し、プロパティーバーの設定を図のように変更します。

■塗りつぶしツールの設定


アンチエイリアスをOFF、許容値を0にします。
クリックした所と同じ色の領域だけが、正確に塗りつぶされます。

適当な色を選択して、一カ所ずつ塗りつぶしをしていきます。
切れている所を見つけたらペン(1ドット)やカバーブラシ(幅広)といったエッジのぼけないブラシで穴を塞ぎます。

■塗潰しツールを使って穴を探して修正する


下側の領域で塗潰しをしたところ、上側の領域も一緒に塗られてしまいました。
この場合ふたつの領域の境界に穴があいている事になるので、探してペン(1ドット)等で修正します。

[2]べた塗りで全体の配色を決める

修正が一通り終わったら、下塗りに入ります。
塗潰しツールで好きな色を塗るだけです。

ここで決めた色が作品の全体的な配色になります。
簡単な作業ですが、納得いくまで組み合わせを試します。

今回は白い花を中心に、赤・橙・緑を加えてちょっと夏らしい色合いにしてみました。

[3]彩色用レイヤーの作成・主線消去

彩色用レイヤーを作成

彩色の準備をします。下塗りしたキャンバスを新しいレイヤーに複製します。
次回以降、この複製したレイヤーに彩色していきます。
キャンバスのべた塗りはSTEP3の影入れで使用するので、このまま残しておきます。

下塗りの色が強すぎると上から彩色する際に邪魔になるので全体的に色を明るくしておきます。
「効果」メニューから「色調を調整」[Cmd+Opt+A / Ctr+Alt+A]を使用します。

■彩色レイヤーを作成


キャンバスを複製して色を調整します。今回は彩色に水彩を使うので、明度・彩度共に思い切って上げておきます。

彩色レイヤーから主線を消去

黒い主線も目立ちすぎるので消しておきます。マジックワンドツール[W]を使って黒い線の部分だけ全て選択します。

■マジックワンド設定


塗潰しツールと同様にアンチエイリアスをOFF、許容値を0にします。
さらに「地続き」をOFFにすることで、レイヤー内の同じ色を一気に選択する事ができます。

黒い主線の上でクリックして選択します。

主線が全て選択されました。
まずは薄い黄色で塗りつぶしたあと、それでも線の目立つ所を周辺の色で塗っていきます。

線の周囲の色をOpt+クリック(WindowsはAlt+クリック)で拾って、エアブラシ等で線を塗ります。
この作業の目的は線を目立たなくする事なので、正確に塗らなくても大丈夫です。

大体の主線が消えました。彩色レイヤーとしてはこれで良いのですが、あまりにも見づらいので別レイヤーに主線も置いておく事にします。

■ガイドレイヤーを作成


新規レイヤーを作成し、選択範囲を茶色で塗潰し[Cmd+F/Ctr+F]ます。

これで彩色の準備ができました。次回から実際にブラシを使って色を塗っていきます