ゆきのPainter講座*デジタル水彩とスポンジで描く光と影
STEP2:デジタル水彩を使って彩色

Abstract :
前回作成した彩色用レイヤーにデジタル水彩を使って色を置いていきます。

[1]「水はね」ブラシを使って全体を彩色

「水はね」ブラシを設定

細部をいきなり塗り始めるのは難しいので、大まかな光と影から塗っていきます。
ブラシはデジタル水彩の水はねを使います。
もちろん他のブラシでも良いのですが、デジタル水彩の水はねは他のブラシに比べて動作が軽快なのでおすすめです。

ブラシの設定を図のように変更します。
この設定一つで画面全体から細部まで筆圧だけでブラシサイズを調節できるようになります。

■水はねの設定とストローク


「サイズ」はキャンバスの大きさにもよりますが、100~200程度の大きめの値にします。
「最小サイズ」を0%に、「表現設定」は「筆圧」にします。筆圧がダイナミックにブラシサイズに反映されます
「不透明度」を10%程度に、「表現設定」は「なし」にします。弱い筆圧でも同じ濃さで塗れるようになります。

影を入れる

まずは大まかな影を入れていきます。
周辺部の葉っぱや魚は青と水色、中心部の花や子供は赤と紫で影を入れます。
明度差による陰影は次のステップでつけていくので、ここでは明度よりも色相で陰影を表現してみます。

■水はねで影を追加


髪の毛は赤、服は紫、外側の花びらは水色で影をつけました。
絵のイメージに合わせて、予め影用の色を2~4色程度ピックアップしておくとスムーズです。

べた塗りで足りない色を追加

中央の花が真っ白なのは少々味気ないので、花びらの先端部をほんのり赤くしてみました。
花びら同士が重なっている所にも赤と紫で影を入れます。

■花びらの先端を赤色で塗る


線画やべた塗りでは表現できなかった色の変化を描いていきます。
影やしわ、細かな凹凸等は次のステップで表現するので、ここでは色合いの変化に注目して塗るようにします。

全体に色が入ったら、細かい部分も同様に描き込んでいきます。ほとんど水はねブラシで事足りますが、使いにくいようであれば「シンプル水彩」や「荒目モップブラシ」あたりが扱いやすくて便利です。

[2]デジタル水彩で光を追加

光用水はねブラシの設定

ここまでは主に陰を中心に色を置いてきたので、次は光の表現を加えます。
光を入れるための簡単なブラシとしては「塩粒」が便利なのですが、今回は「水はね」を使います。

通常の水彩は塗る程に色が重なってしまうので、水はねの設定を次図のように変更します。

■「光用」水はねの設定とストローク


「サブカテゴリ」を「水彩の色消し」に変更。
「不透明度」を大きめ(70%程度)に変更。
「サブカテゴリ」を「水彩の色消し」に変更することで、好きなブラシで「塩粒」同様に光を散らしたような効果を得る事ができます。

実際には毎回設定を変えるのは大変なので、この設定を「バリアントのコピー」で別ブラシとして保存しておくと良いです。

水はねブラシで光を追加

このブラシで光のあたっている所を中心に明るくしていきます。

ここまでできたら「レイヤー」メニューから「デジタル水彩を乾燥する」[Cmd+Shift+L / Ctr+Shift+L]を選んで水彩を乾燥させます。

フィルタブラシでノイズを追加

最後に「取り込みフィルタ」ブラシで軽く加筆しておきます。水彩だけだとどうしても質感が甘くなってしまうので、荒目のテクスチャで光と影を描き加えます。

■取り込みフィルタでテクスチャ感を追加


光・影共にテクスチャのノイズが入りました。
今回はPainter 12で搭載されたフィルタブラシを使用しました。Painter 11以前ではオイルパステルや木炭等が扱いやすいと思います。

ここまでで彩色のステップは完了です。STEP3に進みます