Corel Painterでは、写真を使ってさまざまなタッチの絵を描くことができます。そのために必要な「クローン」という機能が備わっているということも、大きな特徴といえます。
「クローン」というと、お絵描きするうえではあまりなじみを感じられないかもしれませんが、「写し絵をする道具」と考えると、親近感をおぼえるのではないでしょうか。
今回はこのクイッククローンを使い、写真から絵画を描く基本的な方法をご紹介します。写真を元にしているとはいえ、自分で描き上げる達成感はひとしおです。
絵の元となる写真を開きます。ここでは横800×縦600ピクセルの写真を使用しています。
[ウィンドウ]メニュー→[下塗りペインティング]パレットを開きます。ここで写真からクローンを作成するための下地のような効果を設定します。
ここでは[下塗りペインティング]パレットの[フォトエンハンス]で[明るさ]を「-20%」、[彩度]を「25%」にして、元の写真よりも少し明るさを押さえて鮮やかになるように調整しています。
[エッジ効果]で、絵の縁にぼかしの効いた余白部分を加えます。ここでは[長方形]を選んでいます。
[クイッククローン]をクリックします。
すると写真が白っぽく、効果が加わった状態のクローンが作成されます。元の写真とウィンドウが重なっていますが、クローンのウィンドウを少しずらしてみると、元の写真とクローンの、2つのウィンドウが存在していることがわかります。
ここからはクローンの方に絵を描き上げていきますが、元の写真も閉じずに、開いたままにしておきます。
クイッククローンを作成すると、自動的にブラシカテゴリは[クローン]に切り替わります。
もしそれ以外のブラシを先に使用した場合は、ツールボックスで[ブラシツール]を選び、ブラシカテゴリは[クローン]を選び、ブラシバリアントをここでは[ブリスルブラシクローン]を選びます。
クローンのキャンバスをドラッグすると、写真の色を元にして色が塗られていきます。そのまま全体を大まかにドラッグします。
おおよそ描いたところで、[トレーシングペーパーのオン/オフ]をクリックします。すると下絵の表示が消えて、塗られた部分だけの表示に切り替わります。
下絵を非表示にしたまま、形をはっきり描き出したい部分の輪郭をこまめにドラッグします。
場合によってはキャンバスを傾けた方が描きやすいので、ツールボックスの[用紙回転ツール]を選び、ドラッグして任意の角度に傾けてから、[ブラシツール]に切り替えて描き加えていきます。[用紙回転ツール]をダブルクリックすると、元の角度に戻ります。
ブラシによっては、色を重ねることで細部の輪郭が曖昧になってしまうことがあります。そのような場合には、[復元]パレットの[ソフトエッジクローンブラシ]を選択して、細部の輪郭をはっきり出したい部分をドラッグします。ペンタブレットを使用している場合は、軽い筆圧でサッとなぞります。すると、元の写真の状態に復元されていきますので、細部がはっきり見えてきます。
仕上げに雲を描き重ねます。
この絵のように、写真には無い部分を描き加えたい場合には、[レイヤー]パレットの[新規レイヤー]をクリックして、キャンバスの上にレイヤーを追加します。
[カラー]パレットの[クローンカラー]をクリックして無効にします。
こうすることで、写真から色を取り込みながら描くのではなく、自分で色を選んで描く方法に切り替えます。
ここではカラーホイールで「白色」を設定して、空に白い雲を描き重ねています。
絵が完成しましたら、[ファイル]メニュー→[保存]または[別名で保存]を選びます。
イメージの保存ダイアログボックスで、ファイルの種類は「RIFF」を選び、[保存]をクリックします。RIFFファイル形式はCorel Painter独自の保存形式で、レイヤーなどの情報を含めた状態で保存できますから、後から修正を加えたいときにも便利です。
All About 【CG・画像加工】ガイド・土屋徳子
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